甲状腺に痛みを伴った炎症が起こり、組織が破壊されて、甲状腺に蓄えられていたホルモンが血液中に漏れ出ることで、甲状腺ホルモンが過剰になります。
ウイルス感染によって引き起こされると考えられていますが、今のところ原因ウイルスは特定できていません。
30~50歳代の女性に多く、20歳以下の人にはほとんど起こりません。
症状
動悸、息切れなどの甲状腺中毒症の症状とともに、発熱があり、甲状腺が痛みを伴って硬く腫れるのが特徴です。
腫れと痛みは甲状腺の左右どちらかに起こることが多いのですが、しばしば反対側に移動したり(クリーピング現象)、甲状腺全体に広がることもあります。
検査
超音波検査では、痛みのあるところが黒く映し出されます(炎症性低エコー)。
血液中の甲状腺ホルモンが増加した後、ホルモンが一時的に少なくなります。
これは炎症によって甲状腺に蓄えられていたホルモンが一気に血液中に流れ出て、蓄えられていたホルモンがほとんどなくなってしまうからで、数か月以内に自然に回復します。
治療
痛みには、ステロイド薬がよく効きますが、早く薬を止めてしまうと再発する恐れがあるので、1か月半~3か月かけてゆっくり減量しながら治療します。
症状が軽い場合は、NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)を使用することもあります。
再発率は約1%程度であり、再発することはほとんどありませんが、超音波検査で甲状腺全体に炎症性低エコーがみられた場合、数か月後には甲状腺が縮んで小さくなり、永続的な甲状腺機能低下症になることがあります。