妊娠初期に甲状腺機能亢進症となり、甲状腺ホルモンが一時的に過剰になることがあります。
「妊娠性一過性甲状腺機能亢進症」といって、妊婦さんの2~3%に起こり、つわりが強い人や多胎妊娠(ふたご、みつごの妊娠)でみられることが多いです。
原因
胎盤から分泌される「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンが原因となって起こります。
hCGは妊娠を継続するために必要なホルモンで、部分的にTSH(甲状腺刺激ホルモン)と似た構造を持ち、弱いながらも甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンをわずかに上昇させる作用を持っています。
胎盤からのhCGの分泌がピークとなる妊娠7~11週頃に甲状腺機能亢進症が起こりますが、hCGの分泌はその後低下するため、妊娠14~18週頃には自然に軽快します。
甲状腺機能亢進症は軽い場合が多く、通常は治療の必要はありませんが、ごくまれに動悸や倦怠感などの症状が非常に強い場合があり、ヨウ化カリウムを服用することがあります。