ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)とは、手術をせずに腫瘍を治す、比較的新しい治療法です。
ラジオ波とはAMラジオなどの周波数に近い約450kHzの高周波のことで、医療現場では電気メスで使用される高周波と同じものです。
腫瘍の中に直径1.5mmの電極針を挿入してラジオ波電流を流し、電極周囲に50~70℃の熱を発生させることで腫瘍細胞を焼きつぶします。
焼灼後、時間経過とともに腫瘍が小さくなっていきます。
甲状腺疾患への応用
ラジオ波焼灼療法は1995年頃に欧米で開発され、日本では1999年頃から広く臨床使用され、肝癌、肺癌、腎癌、悪性骨腫瘍などに実施されています。
甲状腺疾患への応用は、2008年から昭和大学横浜市北部病院にて行われており、「甲状腺良性腫瘍」「びまん性甲状腺腫」「微小乳頭癌(低悪性度のもの)」が治療の適応となります。
また、「甲状腺癌術後再発」「リンパ節転移」なども、状況を考慮して適応対象となります。
微小乳頭癌に対する治療に関しては、海外で多数例の検討がなされており、焼灼12~24か月後には95%以上で腫瘍が消失し、再発率は0%と報告されています (Int J Hyperthermia 38: 1225-1232, 2021)。
現在、甲状腺腫瘍に対するラジオ波焼灼療法は保険適応になっていないため、入院費を含めた全額が自費負担となります。
入院期間は1泊2日で、自己負担額は約30万円です。