甲状腺が全体的に腫れているだけの状態で、炎症所見は無く、甲状腺ホルモンや甲状腺自己抗体に異常はみられません。
思春期の女性に多くみられ、「思春期性甲状腺腫」と呼ぶこともあります。
また、妊娠したときに一時的に甲状腺が腫れることもあります。
原因はよくわかっていませんが、何らかの理由によって甲状腺ホルモンが不足し、それを補うために甲状腺が肥大すると考えられています。
単純性びまん性甲状腺腫の1/3の人で、バセドウ病や橋本病などの家族歴があります。
また、単純性びまん性甲状腺腫の一部の人が将来、バセドウ病や橋本病になることもわかっています。
検査と診断
血液検査で甲状腺ホルモン値や甲状腺自己抗体価に異常がなく、超音波検査で甲状腺腫大以外の異常が見つからない場合、単純性びまん性甲状腺腫の診断となります。
治療
甲状腺の腫れ以外、他の症状が見られないため、特に治療を必要としません。
「思春期性甲状腺腫」の場合、甲状腺の腫れは一時的で、成長するうちに自然に治ります。
将来、バセドウ病や橋本病になる可能性があるため、少なくとも1年に1回は血液検査や超音波検査を行って、甲状腺の異常がないことを確認する必要があります。