甲状舌管嚢胞は、喉仏(のどぼとけ)の上あたりに液体がたまってできた袋状の腫瘤です。
小さいものも含めると人口の7%でみられ、多くは小児期に診断されますが、成人になってから診断されることもあります。
嚢胞が大きくなると、ぷよぷよとした柔らかいしこりとして認められるようになりますが、痛みや違和感などはありません。
しかし、細菌感染を起こすと、痛みを伴って赤みを帯びるようになり、腫れが大きくなったり、嚢胞の内容物が皮膚の外に漏れ出ることがあります。
約半数の人では、嚢胞の壁に甲状腺組織がみられ、まれに乳頭癌が発生することがあります。
この場合、嚢胞は徐々に大きくなり、硬くなることが多いです。
原因
胎児期に甲状腺ができる過程に異常があるために発症します。
胎児期の甲状腺は舌の根元にありますが、成長するにつれて、喉の真ん中を通って喉仏(のどぼとけ)の下まで移動します。
この通り道に「甲状舌管」という細い管が一時的に作られ、出生までに通常は閉鎖しますが、これが出生後も残存することで甲状舌管嚢胞(正中頚嚢胞)が発症します。
検査と診断
超音波検査やCT検査などの画像検査を行い、嚢胞があることを確認します。
治療
嚢胞が大きい場合や炎症を繰り返すものは、経皮的エタノール注入療法(PEIT)により嚢胞内の空間をつぶしてしまうか、手術により摘出します。