脳の視床下部や下垂体の病気で、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が不足しているために甲状腺が刺激されず、甲状腺ホルモンが少なくなっている状態です。
甲状腺機能低下症の症状がみられますが、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)や性腺刺激ホルモン(FSH, LH)といった甲状腺以外のホルモンの不足も起こると、倦怠感、食欲不振、体重減少、無月経、不妊、性欲減退などの症状を伴います。
原因
生まれつき異常がみられる「先天性」と、生まれた後に異常を起こす「後天性」に分けられます。
「先天性」の多くは原因不明ですが、原因となる遺伝子異常が特定されているものもあります。
「後天性」の多くが下垂体や間脳にできる腫瘍で、下垂体が圧迫され、下垂体でのTSHの分泌が減り、甲状腺機能低下症になります。
他に、下垂体・視床下部の手術後、放射線照射後、TSH分泌を抑える薬剤、頭部の外傷、脳血管障害、下垂体炎などが原因となります。
検査と診断
血液検査ではFT4値が低値にもかかわらず、TSH値が高値を示しません(通常であれば、FT4値が低くなると、TSH値は上昇します)。
下垂体負荷検査では、下垂体を刺激する薬剤を静脈に注射して、TSHがどの程度分泌されるかを調べます。
TSHの分泌が不十分であれば、中枢性甲状腺機能低下症と診断されます。
頭部MRIやCTにより、下垂体や間脳に原因となる病変がないか調べます。
治療
甲状腺ホルモン薬や副腎皮質ホルモン剤を服用し、不足したホルモンを補います。