甲状腺癌の1~2%ほどを占める特殊な癌です。
乳頭癌や濾胞癌より進行が速く、リンパ節、肺、肝臓などに転移することがあります。
乳頭癌や濾胞癌のように、甲状腺ホルモンを作る「濾胞細胞」からできる癌ではなく、カルシトニンというホルモンを作る「傍濾胞細胞(C細胞)」から発生した癌で、乳頭癌や濾胞癌とは性質が大きく異なります。
髄様癌の約40%は遺伝性(家族性)で、RETという遺伝子の異常により発症し、褐色細胞腫(高血圧を引き起こす副腎の腫瘍)や副甲状腺機能亢進症(血液中のカルシウム濃度が高くなり、骨粗鬆症や尿路結石を引き起こす副甲状腺の異常)などを合併することがあります。
検査と診断
血液中のカルシトニンとCEAという腫瘍マーカーが上昇します。
超音波検査と穿刺吸引細胞診を行って髄様癌が疑われた場合、RET遺伝子検査を行い、遺伝性かどうかを診断します。
遺伝子検査は、血液中の白血球からDNAを抽出して調べます。
RET遺伝子に異常があり、遺伝性髄様癌であると診断された場合、血縁者は1/2の確率で同じ癌ができる可能性があるため(常染色体顕性遺伝)、血縁者の方々も遺伝子検査を受けることが推奨されます。
治療
遺伝性でない場合は、癌の広がりに応じた手術(甲状腺切除とリンパ節郭清)が行われます。
遺伝性の場合は、甲状腺の両側に癌ができるため、甲状腺を全て摘出(全摘)し、リンパ節郭清を行います。