腫瘍の増殖するスピードが非常に早くて、甲状腺の周囲や離れた臓器に転移しやすく、1年生存率が20%以下と、極めて悪性度の高い癌です。
60歳以上の高齢者が多く、甲状腺癌のなかでは約1%とまれです。
人間の細胞は、いくつかの成長過程を経て、臓器として働くための能力を身につけますが、甲状腺の細胞の場合は、「甲状腺幹細胞→ 甲状腺芽細胞→ 前甲状腺細胞→ 甲状腺細胞」いうように分化し、甲状腺としての働きを持つようになります。
初期の甲状腺幹細胞は若く未熟で、完全に分化する前の状態(未分化の状態)であり、どんどん細胞分裂を繰り返し、数を増やしていきます。
未分化癌はこの段階の細胞から発生するため、増殖力が旺盛で進行が速いわけです。
一方、分化が進んだ細胞は成熟度が高く、細胞分裂も盛んではないため、この段階の細胞から発生した癌(高分化癌)はゆっくりと進行します。
高分化癌には乳頭癌と濾胞癌があり、これらの癌から低分化癌、未分化癌に変化していくと考えられています。
症状
首前面にしこりをふれ、急激に大きくなっていきます。
しばしば痛みを伴い、皮膚が赤くなることがあります。
また、声がかれて呼吸困難や嚥下困難を伴ったり、発熱、倦怠感、体重減少などの全身症状がみられることもあります。
検査と診断
多くは血液中の白血球やCRPなど、炎症を示す数値が高くなります。
CTで腫瘍が周囲の大血管や気管へ及んでないかを確認し、手術が可能か判断します。
遠隔転移の確認はCTやPET-CTにて行います。
治療
手術が可能であれば、甲状腺を全て切除(全摘)します。
腫瘍が大きく、周囲の大血管や気管に及んでいるようであれば、手術が行えないこともあります。